執筆者:久保広宣

今日もカウンタックーズの稽古が行われる。
本番まであと1週間を切っているので、皆必死に作り上げようとしている。
かくいう私も、本番へ向けてかなり熱が入っている。
稽古場へと向かう気持ちも高揚し、足取りも軽い。
あまりにも気持ちが高まりすぎて、稽古場に早く着きすぎてしまったくらいだ。
我ながら子供っぽいと思う。
まるで、遠足を楽しみにして学校へ早く向かう小学生だ。
が、私は思う。大人になってこそ、こういった心が必要なのではないかと。
さて、稽古場で一人待っているのも淋しいので、街を散策する事にした。
今日は絶好の花見日和である。
いや、今日もと言うべきだろうか。
街には桜の花びらが舞い、それに併せるように人々の活気も高まっているようだ。
しかし、そんな気分に水を差すような事が起きた。
そう、雨が降ってきたのだ。まさに水を差すとはこのことだ。
傘を持っていなかった私は、雨宿りをするため、一件の店に入った。
その店はなんともにぎやかな所であった。
そして独特の雰囲気を持つ所でもあった。
ここに集う者は、雨も桜も関係ないのだ。ただ、自分たちの世界に集中し、志同じくする者達と切磋琢磨し己の腕を磨く。そんな場所であった。
それは、私たち演劇をやる者と同じではないか?
舞台を成功させるために、芝居を良くするために、休みも盆も正月もなく稽古に励む私たちと・・・。
そう気付いた私は、その場所に集う人々に興味を持ち始めた。
その人達と共に居る事で何かわかるのではないかと思い、その輪に加わる事にした。
そして私は、100円玉を取り出して筐体へと滑り込ませたのである。
つづく
コ メ ン ト
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